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〈進路面〉
競技力の高い生徒ほど、外部指導者の進路に対する思いは強く、本人や家庭の意向、学校の進路指導との食い違いが考えられる。
また、高等学校関係者が外部指導者となったとき、上記の心配(引き抜き)は指導者導入の際に十分検討する必要がある。

 

〈経費面〉
現在、運動部活動指導者派遣事業として取り組みを行う中、実際には規定回数以上に指導をいただいたり、ゲーム等の他会場への交通費自己負担による指導など、手当以上の出費は多分にある。外部指導者導入を希望する学校は思いのほか多く、全て導入するためには、経費の確保が先決である。

 

〈責任問題として〉
練習中や試合中に大きな事故が起きたときの責任の所在等を明確にする必要がある。また、予選会などでは顧問が審判をするケースがあり、その種目に精通しない顧問の場合、ブロックや地域全体の理解を得て、外部指導者が審判をするケースもあり、この制度の周知が広範囲に行われることも必要と思われる。
また、複数校に同一の指導者が指導を行い、その指導している学校同士が対戦するといった場面に遭遇し、対応に困ったという報告があった。

 

〈教員の資質の問題〉
部活動の多様化、教員の多忙化の現状から、顧問が技術指導できない状況が増え、その対応策としての外部指導者導入は、ますます教員の指導力低下や、研修意欲の低下につながり兼ねない。部活顧問に対しても研修の機会を与えながら、外部指導者の持っている技術力を研修の機会として捉え、導入することも今後必要と考えられる。

 

6 まとめ

 

今回の調査や発表内容は学校側から見た外部指導者の状況であって、外部指導者側から部活動(学校)の状況についての調査できなかった。
外部指導者活用のメリットは数多くある。学校から外部指導者への要望はそこに関わる者の人間性に集約されているようにも思う。顧問の多くが指導者とのつながりの中で「上手くやっていけるか」「生徒への指導は的確なのか」「責任ある行動をとれるのか」といった内容が不安として出されたようにも思われる。
学校における部活動の果たす役割は、歴史的に見ても、現在の状況を考えても大変大きいことは誰もが認めているところである。時代の変化に伴って学校教育の在り方が問われ、そして教育改革が行われてきた。今般の学校週5日制実施を前にした教育改革は各分野の見直しがなされ、部活動のあり方も論議の渦中にある。
日本の中学校部活動は世界に誇れる学校教育のシステムであり、体力面(成長期における体力・技能の習得)・精神面(協調性・積極性・社会性)・生涯活動(生涯スポーツ・専門的技能の習得)などほとんどの人が経験をし、それなりの成果をあげてきた。
外部指導者の活用が、学校教育活動の一環として実施されている部活動をより良い方向に発展させることを期待している。

 

 

 

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